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The Essays of Maki Naotsuka

オンラインエッセー集

18 朝のごみ出し情景 2006.11.6

初出:b覚書,2006

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Free Images - Pixabay

 朝、ごみを出そうとエレベーターが上がってくるのを待っていたら、声がして、あとから2人のマダムがやってきた。

 3人はそれぞれのごみと共にエレベーターにのった。1人は高齢のマダム、もう1人は孫がいる中年の域から高齢の域に移ろうとしているマダム、そして中年の域にどっぷり漬かっているこのわたしマダムN。

 家庭によって出るごみの量は違うものだなあと思う。高齢のマダムは馬鹿に少なく、小さなビニール袋1つ。ごみ、食べているんじゃないかしら……と思うほど少ない。

 もう1人のマダムはわたしとどっこいで、大きなビニール袋1つと中くらいのビニール袋1つ。孫が来ていて、紙に絵を描き散らし、おかげでごみが増えたという。

 わが家は鼻が悪い夫のチーンするティッシュと、わたしの小説の書き損じの紙で増える。表に印字しただけの用紙はもったいないと思うが、つい、まるめてしまう。

 あれは娘が小学1年生だったときのことだが、書き損じたワープロ用紙の裏を娘のお絵描き用にしていた。まだ若くて執筆力が旺盛だったわたしは盛んに書き損じをこしらえ、娘もそれに負けない旺盛さでお絵描きをした。

 うかつにもわたしは気づかなかったのだが、娘はそれを学校に持って行き、せっせと担任の先生に見せていたのだった。定年に近い年齢の女の先生だった。

 先生は、娘の絵とわたしの書き損じた小説をせっせと見てくださっていたようだ。それを家庭訪問のときに知らされ、顔から火が出そうになった。

 そんなことを思い出したが、勿論そんな話は2人のマダムにしなかった。

 3人のマダムはごみを出し終わり、再びエレベーターにのった。

「3人1度にエレベーターにのると、電気代が3分の1で済むわねえ」
「ほほほ……」などといった会話を交わし、それぞれの室に散った。