「入京」は、還暦を過ぎたわたしが学生時代に書いた詩。
出典:Pixabay
入京
エルサレムの白いひろがりが
たたずむ仔ろばの足をひたす
仔ろばは耳を澄ますようにして立っていた
灰真珠色の外套に包まれて
主がほのかに座していらっしゃるからだ
至純の思念が沁みついた外套を
いくつもの手が触った
翼のない苦しみには
この外套がいくつあっても不足だ
縫い目のない下着を剥ぎ取っても
まだ不足だ
ひそやかな流血の予兆が
たたずむ仔ろばの足を冷たくする
主の名によって来られる王に祝福があるように。
天には平和、
いと高き所には栄光。*1
主は都のうつくしさに泣かれた