The Essays of Maki Naotsuka

オンラインエッセー集

初出:b覚書,2006

34 入京(クリスマス・イヴに蔵出しの自作詩) 2006.12.24

「入京」は、還暦を過ぎたわたしが学生時代に書いた詩。 出典:Pixabay 入京 エルサレムの白いひろがりがたたずむ仔ろばの足をひたす 仔ろばは耳を澄ますようにして立っていた灰真珠色の外套に包まれて主がほのかに座していらっしゃるからだ 至純の思念が沁…

33 「文學界」11月号の「黒い鏡」、新年号の「カンディンスキーの膝」 2006.12.8

出典:Pixabay 文藝春秋の文芸雑誌「文學界」を年間購読しているものの、パラパラとめくるだけで終ることが多い。 たまには面白く読む作品もあって、それが11月号の『特集 世界の文学賞はどうなっているか』、村上香住子「黒い鏡」、新年号の荻野アンナ「カ…

32 映画「プラダを着た悪魔」 2006.12.8

出典:Pixabay プラダを着た悪魔(The Devil Wears Prada)監督:デヴィッド・フランケル脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ原作:ローレン・ワイズバーガー製作:ウェンディ・フィネルマン製作総指揮:カレン・ローゼンフェルト、ジョー・カラッシオロ…

27 公園デビューしたハムスター 2006.7.8

出典:Pixabay クリスマスを数日後に控えた、ある冬の日のこと。夫と子供たちはペットショップへ出かけた。 その頃、ゴールデンハムスターが人気を集めていて、子供たちは飼いたがっていたのだ。わたしは嫌だった、ネズミを飼うなんて。 子供の頃に家政婦さ…

26 フジコ・ヘミング (1)初のフジ子・ヘミング 2006.5.1 

出典:Pixabay フジ子・ヘミング*1のピアノ・リサイタルは、素晴らしかった。可能な限り印象を持ち帰りたいと思い、休憩時間にメモ帳を開いたのだが、うまく書き取ることはできなかった。無味乾燥なメモ……。 休憩時間にロビーへ出ると、犬たちがいた。盲導犬…

19 欧風料理店にて、ロートレックの絵に描かれたジャンヌを想う 2006.11.10

出典:Pixabay 休日だった娘と待ち合わせてランチに行きました。前に一度行ったお店です。 本当は娘と同じく休日だった夫も一緒にイタリア料理店に行くつもりだったのですが、残念なことにそこは移転のため、閉店となっていました。夫は急用ができて、一緒に…

18 朝のごみ出し情景 2006.11.6

出典:Pixabay 朝、ごみを出そうとエレベーターが上がってくるのを待っていたら、声がして、あとから2人のマダムがやってきた。 3人はそれぞれのごみと共にエレベーターにのった。1人は高齢のマダム、もう1人は孫がいる中年の域から高齢の域に移ろうとし…

17 サラダが連想させるマルグリット・オードゥー『孤児マリー』 2006.10.28

出典:Pixabay わたしは料理をしながら、これまでに読んできた文学作品の一場面が脳裏をかすめることがよくあります マカロニサラダを作るときは必ずといっていいほど、マルグリット・オードゥー『孤児マリー』のワンシーンが思い浮かぶのです。 Marguerite …

16 学生時代の思い出 2006.10.19

出典:Pixabay 学生時代の友人2人から相次いで手紙がきた。 同人誌を送り、わたしはその手紙の中でざっと近況報告し、ブログの存在を明かした。 友人の1人は、パソコンはあるがまだネットにつないでおらず、つないだら訪問すると書いてくれ、もう1人の友人…

15 キエフ・オペラ『トゥーランドット』 2006.10.14

出典:Pixabay 12日の木曜日にキエフ・オペラ(ウクライナ国立歌劇場オペラ)、プッチーニの『トゥーランドット』*1を観た。 舞台は絢爛豪華、音楽は迫力満点だった。 彼らは舞台マナーもすばらしかった。何度も繰り返されたカーテンコールにも嫌な顔一つ見…

14 映画『フライトプラン』で連想した「消えうせた貴婦人」の話 2006.10.6

出典:Pixabay 夫が、ジュディ・フォスター主演の映画『フライトプラン』*1のDVDを借りてきた。デップ様の『パイレーツ・オブ・カリビアン』も借りてきて、今夜帰宅したらお店に返しに行くといっていたから、それまでに観なくては……! 『フライトプラン』…

13 『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』(岩崎書店,1967–1969) 2006.10.2

出典:Pixabay 昭和42年(1967)から44年(1969)にかけて、岩崎書店から『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』が刊行されました。定価各380円とあります。 その中の(山本和夫編)『世界名詩集(ジュニア版 世界の文学 35)』(岩崎書店,1969)によって、わ…

12 月とロルカ 2006.9.28

『ジプシー歌集』(1928年)初版のカバー出典:Wikimedia Commons 昨日は夜空に三日月が息を呑むような美しさでした。 金色を帯びた黄色い月で、ぴかぴか光って見えました。 月といえば、思い出されるのがスペイン生まれの詩人・劇作家であったロルカ*1の詩…

11 肉を、もっと肉を(御婦人方の小話) 2006.9.21 

出典:Pixabay この街に引っ越してきてから、デパ地下とサティとマルキョウをよく利用します。以前住んでいた日田市では、ダイエーに行けば事足りたのですが、ここではこの3つに足を運ばなければ、食料品か日用品かのいずれかに不足が出てきます。そんな利…

10 検索サイトよ、汝は(殿方の小話) 2006.9.18

出典:Pixabay ある小説を例外として、わたしのブログ「マダムNの覚書」に小説を読みに来てくださるかたはそう多くはありません。 例外とは掌編『牡丹』でして、これだけは超ヒット、馬鹿受けしているようで、恐縮の至りです。 ただ、管理画面でその検索ワ…

9 児童文学作品の中の家庭事情 2006.9.16

出典:Pixabay 昨日の夕飯に、オムレツをしました。 オムレツの中身は、合い挽肉、みじん切りにした玉葱・人参を油で炒め、塩コショウしたポピュラーなものです。 子供たちが好んだので、以前はよくオムレツを作りましたけれど、オムレツって案外面倒ですよ…

8 子ぎつねヘレン 2006.9.13

出典:Pixabay 話は春に遡りますが、家族で映画『子ぎつねヘレン』*1を観に行きました。 ヘレン・ケラーのような三重苦を抱えた子ぎつねとのふれあい・介護を描いた獣医夫妻の手記がもとになっているということでしたが、映画は、主人公の男の子の心理を投影…

7 梨とピノッキオ 2006.8.28

出典:Pixabay 今夜の食後のデザートは、日田産の梨でした。日田市にいた頃は、日田産の美味しい梨を、それが普通の梨だと思って食べていました。汁気が多くてとても甘い日田産の梨が有名であることは、こちらに来て知りました。 梨といえば、連想するのが、…

6 児童文学作品を通して見る母親の幸不幸 2006.8.17

月とたましい 母――完全なる相違のたましいとわたしは寝ている。 わたしの、発作のように狂気のように、母に甘えたくなった末の話で、窪みのない平板な夜に、わたしの胸の蟇蛙達もさざめかない静けさのなかで、ひときわ濃く淡く、 母のかおり、それがわたしに…

5 秋に寄せて 2006.8.15

出典:Pixabay まだまだ暑いにも拘らず、昨日の夕方買い物に出たとき、ふと秋の気配を感じた。 ときめきにも胸騒ぎにも似た動揺――。どうして、そんな気がするのだろう、こんなに暑いのに……と思いながら、周囲を見渡した。 風を受けて、微かにそよぐ街路樹の…

4 小さきものたち、その罪深き思い出 2006.6.21

出典:Pixabay 夏になると思い出すのは、小さきものたちのこと――さらに甦るのは、自身の彼らに対する罪深い行いである。 その小さきものたちとは、アリとカエル。カエルはアマガエル。 そうするつもりでそうしたわけではない。だが結果的に、多くの小さきも…

3 久しぶりの博多、マリア・テレジアの遺品 2006.5.26

出典:Pixabay 昨日、九州のある小都市からある中都市へ出かけた。率直にいってしまえば、大分市街から博多へ出かけた。天気のいい日にはあまい青色を湛えている別府湾は、この日は曇り空を映して大きな水溜まりのように見えた。白いソニックが傾いで、湾に…

2 百年前の子供たち 2006.4.26

出典:Pixabay よく行くデパートで、フランス展があった。会場の一角にアンティークの店があり、そこで何気なく手にとった絵葉書に魅せられた。絵葉書には、子供たちを描いた絵を複製したものが使われている。 眺めていると、店の人がやってきて、それらの絵…

1 レニングラード国立バレエ 2006.4.25

出典:Pixabay 中年女性の間で、バレエが流行っているようだ。 知り合いにも一人、バレエを始めた人がいる。子供の頃にバレエを習っていたという人が多いようだ。中年期というのは、気軽に稽古事を始めたり再開したりしやすいのかもしれない。それ以前の年齢…