23 ネットで横行している薬の売買を憂う 2007.6.13
出典:Pixabay
わたしはインターネットをはじめて3年くらいにしかならないので、いつ頃からのことなのかは知らないが、ネットによる薬の売買が横行しているようだ。
かつて文学仲間だった女性も利用者の一人で、盛んに購入しているらしい。
薬事法違反者の薬を購入することによって、彼女も悪事に加担しているとわたしは思う。しかも、そのことを何か自慢そうにブログで公言する行為、わたしにはわからない。
そんなことをやっておきながら、福祉のサポートまで受けようとする神経、ますますもってわからないどころか、怒りさえ覚える。善良な納税者をも、悪事の手先とするつもりか?
そのあたりが彼女が病人であるゆえんなのかどうか。彼女が初めて受けた診断は、タイプは違うが、わたしが中学時代から煩っていたのと同じ神経症だった。
その症状を軽くしたいあまり、彼女は薬剤師の知人から眠剤を分けて貰うようになったのが、事の始まりだったように思う。そのうち、「うつ」「パニック障害」「境界型人格障害」などといった病名がつくようになり、薬の乱用もひどくなっていった。
現在の彼女にどんな診断名がついているのかは知らないが、ベースに薬物中毒があることは間違いない。
そういうわたしも高校時代、強迫神経症(心因性頻尿)で精神安定剤の処方を受け、依存症になったことがある。当時は、薬局で高校生に精神安定剤を売ってくれた。尤も、渋い顔をしながらではあった。
依存症から抜け出すのは苦しかった。が、人間らしく生きたければ、それしかないと思ったのだ。
わたしには文学がずいぶん助けとなったが、彼女にとっての文学とは賞狙いの道具でしかないように見える。余談になるが、文学賞もいつ頃からか、文学賞をターゲットとするギャンブル中毒者を大量に生み出していると思う。
眠剤中毒者、安定剤中毒者が、ブログの世界にはうようよしているように見える。そうした中毒者もアルコール中毒者や麻薬中毒者と同様に扱うべきではないだろうか。入院させて中毒症状を治療してあげなくては、可哀想だ。
それ以前に、政府はネットによる薬物の売買を、厳しく取り締まるべきではないだろうか。厚生労働省のホームページから引用する。
Q 個人輸入代行業者を介して海外から医薬品などを入手することは、薬事法上は問題ないですか。
A 最近、個人輸入代行と称して、外国製の医薬品や医療機器を広告して、それらの購入を誘引する仲介業者がいます。
しかし、日本の薬事法に基づく承認や認証を受けていない医薬品や医療機器の広告、発送などを行うことは、違法な行為です。また、何かトラブルが生じても一切責任を負おうとせずに、全て購入者の責任とされます。
こうした悪質な業者には、くれぐれもご注意ください。
「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」(厚生労働省ホームページ)<http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html>(2016年6月20日アクセス)
第一、今の医師は、こうした薬を安易に処方しすぎるのではあるまいか?
わたしは現在、循環器科と呼吸器科にかかっているが、少し眠れないといっただけで、すぐに眠剤や抗不安薬が処方されようとする。わたしは断る。
マリリン・モンローが精神治療薬漬けだったことは有名な話だが、彼女の伝記を読んでいると、当時のアメリカと今の日本は精神医療の雰囲気がそっくりだ。
わたしが前述した症状で精神科のクリニックにかかった頃は、そこへ行くのに大変な勇気がいった。当時と比べれば、現在、精神科は格段に行きやすい場所となったようだが、そのことが生んでいる弊害というのもまたありそうに思えてならない。
一方、統合失調症である女友達は、進歩した精神医療のお蔭か、昔と比べると、病気が比較的よくコントロールされているように思える。
先日彼女から電話があり、今回は使用料だけで入会金をとられなかったため、作業所での1箇月間の賃金は1,200円にもなったそうだ。*1
彼女は、この先のことを――両親が亡くなったあとのことを――心配している。顔見知りの福祉の専門家に精神的なサポートがあるかどうか尋ねると、その人は生活保護を受けられることだけを強調したという。
追記:統合失調症の女友達は2014年2月2日に死去した。ご両親は健在であった。わたしは晩年の彼女をモデルにした日記体小説を電子出版した。
直塚万季『詩人の死』(Kindle版、2013、ASIN: B00C9F6KZI)関連エッセー