9 児童文学作品の中の家庭事情 2006.9.16
出典:Pixabay
昨日の夕飯に、オムレツをしました。
オムレツの中身は、合い挽肉、みじん切りにした玉葱・人参を油で炒め、塩コショウしたポピュラーなものです。
子供たちが好んだので、以前はよくオムレツを作りましたけれど、オムレツって案外面倒ですよね。4人家族だと、4つのオムレツ。3つ作ったところで力尽きて、自分のオムレツは形が崩れがちでした。
現在、大学生の息子は他県にいるため、3つのオムレツを作ればいいわけですが、どういうわけか、今は2つで力尽きてしまい、やはり自分のオムレツは崩れがちなのです。
でも、昨日はサイトに写真をのせようと思って気を張って作ったためか、3つとも、わりに綺麗にできました。サイトの効用ですね。こうした効果のためもあって、恥ずかしい写真を公開しているわけですけれど。
ところで、卵料理をするときにいつも連想してしまうのは、エーリヒ・ケストナー(高橋建二訳)『点子ちゃんとアントン(ケストナー少年文学全集 3)』(岩波書店,1962)*1です。
アントンは派出婦をしているおかあさんとふたり暮らしで、お母さんが病気になったため、代わりに料理をします。アントンにとっては、慣れたもののようです。
アントンは鍋でジャガイモをゆで、フォークでジャガイモを突き刺し、出来具合を確かめます。
次に卵を2つとって鍋に割り入れ、それに水をいくらか入れて、ムギ粉を振りかけ、泡立て器でかき混ぜます。
シチュー鍋にマーガリンを溶かし、卵を流し入れ、塩をひとつまみ入れて、さじで焦げつき出した卵をかき混ぜます。
こうして出来上がったジャガイモとかき卵――スクランブルドエッグ――が、母親とアントンの食事の内容でした。前日、アントンはハンバーグステーキを作ったようです。
ムギ粉というのは、小麦粉のことでしょうか。ケストナーのこの作品をわたしが初めて読んだのは子供の頃でしたが、料理道具や作りかたが何となく不思議に感じられたのを覚えています。
うちだと、じゅがいもを突き刺す道具は箸か串だし、卵を焼いたりするのにはシチュー鍋なんて使わない、フライパンよね。そんなことを子供のわたしは思いました。
おばさんになった今では、児童文学作品の中の家庭事情というものが、ありありと見えてきますし、気にもかかります。
このときのアントンの母親の病気は、腹部に腫瘍ができて、それを手術したようでした。良性だったのか悪性だったのか、完治したのかどうか、気になるところです。
*1:Erich Kästner,1899年2月23日 - 1974年7月29日. Pünktchen und Anton(1931)